【読了記録】『下町ロケット ガウディ計画』レビュー
『下町ロケット ゴースト』と一緒に、
文庫版が出てる!
『ガウディ計画』って読んだっけ?と思いながら、結局買って読みました。
池井戸作品の最大の特徴のもいえる「正義は悪に勝つ」の構図。
特に続編ともなると、
ワンパターンだと批判するレビューもたまに見られますが、
私はこのワンパターンが好きです。
なぜなら安心して読めるから。
また、「世の中は理不尽なもの」と思っていても心の底では納得できていない私たちは、
池井戸作品の持つ「痛快さ」に心を躍らせ、「やっぱりそうでなきゃ」と日々のささくれだった気持ちを癒している節を感じます。
さて、『下町ロケット』はロケット部品を手掛ける中小企業の話ですが、
ロケットを飛ばす話ではないので、
親近感を持って読めます。
『ガウディ計画』は、ざっくり言うとロケット部品と医療機器の部品を作るという二本立で展開しています。
メインテーマは、
「仕事とは、夢を持つこと」「人の役に立つこと」を伝えたいのでは、と感じました。
一難去ってまた一難、というよりは、
一難あって、また一難、さらにもう一難。
どれだけ難ありなのか。。。
その難を真っ向から受けとめ、
地道に解決の道を探ろうとする佃製作所の従業員たちは、
「夢を持っているから」「人の役に立ちたいから」という信念があるからあんなに頑張れるのかな、と感じました。
そうなると、自分の仕事に対する姿勢を振り返りたくなるもの。
どちらも持っていない自分は、
だから情熱を持って取り組めないのかな?とざわざわしますorz
『ガウディ計画』は間違いなく大好きな作品のひとつになりましたが、
ひとつ難を示すのならば、『ガウディ計画』には「超越した悪人」がいないため、
「痛快!」まではいかないかな、というかんじ。
例えば、『オレたち花の入行組』では、
西大阪スティールの東田社長、
東京中央銀行の浅野支店長。
『オレたち花のバブル組』では、
京橋支店の古里、
東京中央銀行の大和田常務と木村部長代理。
『ロスジェネの逆襲』では、
東京中央銀行の三笠副頭取、伊佐山、野崎、
大洋証券の広重など。
同情の余地もない「クソッタレ」な奴らを正義の名のもとに斬る。
だから爽快気分を味わえる。
『ガウディ計画』では、
サヤマ製作所社長の椎名や
日本クラインの久坂が出てきますが、
「半沢直樹」シリーズに出てくるような「クソッタレ」かというと、そこまでではないし、所詮は小物。
医大故の権力欲に負けてしまったが故に
なかなかのヒールっぷりだけど、
患者のために日本の膠着した医療をなんとかしたいという気持ちがもともとあったので、そこまで悪人と言いづらいなという印象です。
エンタメ感はあるけれど、
「自分の人生のなかで仕事の位置づけ」を考えさせられる、
そんな本でした。
(結局、途中で単行本のときに読んでいたことに気がつき、2回目でした)
【今回のときめき台詞】
「人の数だけ、仕事をする意味があるのかな」(p111)